建物の健康管理

住まいは、人が主。

木造住宅で、一人住まいのお母様よりご指名いただきました。
「屋根が傷んで雨漏りしますよ。近くで仕事をしているので、ついでに見てあげます!」と言われて心配で…。
確かにこちらは、カバー工法スレート屋根材がボロボロに劣化していて、真に親切かどうかは別として、声をかけやすい。
「今雨漏りがしているわけではないけど、そんな声をかけられないようにしてほしい。」とのこと。

調査に伺ったところ、劣化したスレート屋根の下に、元々の板金屋根が見えました。
ボロボロに錆びていることを想定していたのですが、なんだか綺麗。
屋根葺き替えの見積りを出す前に、先ず既存のスレート屋根材を撤去して判断することにしました。
そうしたら、やはり綺麗。

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スレート屋根の工事を勧められて、施工したのが40年程前のこと。

なんでこの工事が必要だったのか。
建物のことは、既に亡くなったご主人がすべて仕切っておられたので、今となっては誰にもわからない。
別に騙されたわけでもなく、断熱性能や遮音性能を向上させたくて、積極的に進めたのかもしれない。

劣化したスレート屋根を撤去し、現状を説明したうえで、その後のことについて相談。
今、一人住まいのこの家を、今後どのように収めて行くのかが、重要なポイント。
単に「足場を架けて屋根を葺き替えた方が安全で長持ちします。せっかく足場を架けるので、外壁塗装などできることは全てやりましょう!」では理に適わないのである。

娘さんのご意見も踏まえ「雨が漏らなくて、営業の声がかからなければそれで良い。」との結論。
私もそう考えていましたが、諸々助言したうえで、ご本人に決断していただきました。
ご主人が築いてくださり、ご夫婦と苦楽を共にし、子供二人の成長を支えてきた大切な住まい。

その住まいも、いずれ役目を終えるかもしれません。
それまでは、現在の主であるお母様のお考えを基に、その時々で最善の手当てを。

こちらも真摯にお手伝いし続けたい。

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