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覚悟

私たちの仕事に限ったことではないが、お客様に製品を提供するにあたり、そこに関わる者すべてがプロとして覚悟を決めて取り組むべきと、つくづく思う。

私たちは、お客様の生活や事業において求められる、「安心、安全、便利、快適、充実、満足・・・」を、工事という手段で提供しています。

当社のような工務店、そこに集う多くの協力業者・業種ごとの職人、材料や原料または既製品の販売代理店、それらを製品にするメーカー等々すべての者が、エンドユーザーであるお客様の喜びや満足を目指して邁進している・・・べき。

リフォーム工事で使用した、大手メーカーの『フローリング材』でトラブルが発生しました。施工は5年前の2010年。トラブル発覚は2013年。フローリングというと、「板」というイメージかと思いますが、下地が木でも表面の仕上げは、木目のシートが貼ってあるだけというケースも多々あります。本件のトラブルは、その表面シートが、広範囲にわたり剥がれてしまうことでした。

これは製品不良ではとの思いから、メーカーに申し入れ現地確認していただいたところ、水分による剥離との結果報告。メーカーの調査員が、含水率測定器で室内各所を測定し、その数値を根拠としたものでした。

その説明内容の検証を行う必要がありました。自分自身で納得しきれなければ、お客様にもご納得頂けるわけがありません。

高層階の窓際で、アルミサッシ廻りから雨水が浸入し、直貼りフローリングと床コンクリートの間に滞留している、という仮説のもと散水調査を行い、仮説通りの結果を得ました。フローリングの表面には雨漏り具象が現れないため、含水率測定器を用いて判断し、最終的にその測定値をもとに、フローリングを剥がしてみたところ、明らかな雨漏り具象がありました。

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それによって、「材料の問題ではなく、雨漏りによって剥離した。」という結論に至り、雨漏り修理は建物の管理組合側のご負担、フローリングの貼り替えは室のオーナーご負担で施工されました。(※分譲マンションの規約によるもの)

 

 

 

ただ、お気に入りで選ばれた元のフローリングは、施工後ほどなくして製造中止となってしまったため、まったく違う雰囲気の製品に変えざるを得ず、更には継ぎはぎにする訳にもいかず、繋がる廊下や別室も貼り替えることになり、大きなご負担を強いられました。

そしてそれから2年経過し、同様のトラブルが発生しました。2年前に貼り替えをしなかった2室で、時を同じくしてシートの剥がれが起きてしまったのです。そこでまた、激しい雨天の後に含水率の測定をしましたが、このたびは室内各所に差が出ないため、前回と同じ「水分による剥離」という結論を導き出すわけには行きません。

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『やはり、もともと製品自体にも問題があるのではないだろうか・・・』

そう考えたのは私だけではなく、オーナー様からも、異口同音の疑問を頂戴しました。

そこでまたメーカーに連絡し、現地を確認していただくことに。

前回メーカーから派遣された調査員が再びお出でくださり、ご自身の含水率測定器を用いて測定したところ、「前回とは違う。含水率に明らかな差異は見られない。」という見解でした。

私としては、やはりこの材料自体に問題があった、それがほどなく製造中止になった理由の一つでもあるのでは・・・と疑っていましたので、メーカーからの報告書がどのような結論を導き出すか、とても興味がありました。

報告書がファックスで届きました。

今度は『直射日光が床表面に長時間当たったことによる、光と熱の影響によるものと視察される』・・・だそうです。前回の雨漏りの疑いと違って、今回は検証することすらできません。ですので、私自身が完全に納得することもできず、結果お客様にご納得も得られないものと考えます。

当社には元請けとして最大の責任があります。私なりの覚悟をもってこの後の対応もします。メーカーや販売店がどう対応しようと、関係ありません。ただ、それぞれが自分のパートに責任を感じて、もっと真剣に取組まなければいけないと感じています。メーカーは「・・・と推察されます」と言うなら、もっと深堀してもらいたいし、それを仕入れて売った販売店は、自身のためにも更に追求すべきではないかと。

最後に言っておきますが、この記事はメーカーや販売店の批判、文句のつもりで書いているのではありません。ウチの会社をもっと高めていこう、業界全体の姿勢をもっと良くしていこうと、自分を鼓舞するために書いています。

『この会社のすべてを信じて発注しよう』と、一番最初に覚悟を決めてすべて委ねて下さったのはお客様です。それなのにこちら側が、中途半端な覚悟でお応えするなんて言語道断。

今回のことだけでなく、私自身がしっかり覚悟を決めて、物事に取り組んでいるのか・・・自戒の念深い、日曜日となりました。

 

 

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