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ひと思考・ひと手間

鉄筋コンクリート庇の下部が爆裂しています。

ひと思考・ひと手間01

コンクリートの中に埋まっている鉄筋が錆びによって膨張し、外側のコンクリートを破壊してしまうのが爆裂です。ではなぜ鉄筋が錆びるのか?原因として考えられることがいくつかあります。

コンクリートは強アルカリ性のため、埋まっている鉄筋の錆びを防ぐ役割も持っています。しかしながら経年と共に、空気中の炭酸ガスの影響で、表面から『中性化』が進行します。そして鉄筋の埋まっている位置まで中性化が進むと、鉄筋が錆び始めます。

また、中性化が進まずとも、コンクリート硬化の過程や、経年、地震などでひび割れが発生することで、そこから雨水や湿気が浸入し、鉄筋を錆びさせることもあります。

いずれのケースでも、鉄筋の埋まっている深さが浅いと、当然ながら顕著に表れてきます。

で、修理の方法としてはいくつか選択肢があります。今回は、鉄筋の錆びを落として、エポキシ系の防錆剤を塗布して、同じくエポキシ系の材料で埋めて形成する・・・。という処理をします。

『コンクリートが爆裂して、コンクリートが落ちて、中の鉄筋が錆びています。』

『原因は(前述)・・・と思われます。』

『修理は(前述)・・・のように行います。』

『計画の通り施工しました。』

『おしまい』・・・となる訳ですが、この流れはどこでやっても当たり前だし、気の利いた職人さんなら、当社が介在しなくても説明も施工もできるでしょう。

でも、私たちは原因が『中性化』や『雨水・湿気の浸入』とは思うものの、本件の場合はなんなんだ?どうしてこうなったんだ?と、ご依頼受けた時点からずっと考える訳です。そうして私たちなりの仮説をもって、爆裂補修の当日には、その対策も講じるように準備しておくのです。

本件の仮説は、『庇の側面に付いている、ステンレスの雨樋が溢れて、常時雨水が周囲のコンクリート表面を濡らしているのでは?』というものでした。お客様にヒアリングしても、そのような状況は気付いたことがないとのこと。

で、当日庇に上がってみると、予想通り全く雨水が流れていない状況。

プロとしての対策は・・・清掃あるのみ(笑)

ひと手間・ひと思考02ひと手間・ひと思考03

更にもう少し上にも、現調時に気にかかっていたところがありました。ひと思考・ひと手間04

ここも念のためチェック。見ての通り苔が雨水を堰き止めている様子。当然清掃。ひと手間・ひと思考05ひと手間・ひと手間06

 

もしかしたら、仮説が間違っているかもしれません。でももし仮説が正しければ、今回の工事が補修だけではなく、行く先の更なる被害を食い止めることにもなります。

他社でもやれることを、同じ過程で済ませるなら、どこに頼んでもいいし、結果も大差ないでしょう。

そのなか、せっかく当社を選んでいただいたからには、『もうひと思考、もうひと手間かける』こと。

それが当社の強みの一つだと思っています。

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