今年に入ってから、建設現場の補償や労災保険のセールス電話が異常なまでに多かった。
たいして気にすることでもないのだが、あまりにも多いのでさすがに考えてみた。
おそらく原因はあれだと判明。
昨年の暮れまで、当社の建設業登録は国土交通大臣登録。
これは2つ以上の都道府県に営業所を持つ場合で、
埼玉に実働していない営業所があったことでそうなっていた。
無意味な経費が掛かっているので、営業所を閉鎖して本社のみにし、
「都知事登録」となった。
この場合、大臣登録から知事登録への「変更」という手続きかと思っていたが、
大臣登録は取り消し、まったく新たに都知事登録は新規申請の扱いになる。
創業から50年になるが、関係なく新規登録業者ということ。
そこで、その登録情報が公開され、建設業開業時に必要であろう情報として
保険業者から数々の連絡が入る・・・ということのようだ。
そういえば、建設業登録を表示する看板業者からも、多数のDMファックスなどがあった。
初々しく新規の業者というつもりで、初心に帰るタイミングなのかもしれない。
50年の間にはたくさんの業者さんが関わり、入れ替わり現在に至っている。
おかげさまで、素晴らしい人柄と技術を持った方々に囲まれている。
しかし、徐々に過渡期に入ってきていたようだ。
このところ2件の業者さんから、立て続けに「業を閉じる」話を受けた。
1件は跡継ぎもなく、加齢と持病で限界を感じ、迷惑をかけないように店を閉める。
息子さんが3人いるが、それぞれ多様な道でキッチリと成功されている。
もう1件は跡継ぎはいるが、その業に思い入れも未練もなく閉じる。
まあ、折角の跡継ぎだが引き際と感じられたのだから仕方がない。
考えてみたら、私が自社に戻ったのが19年前。
そのころ40から50歳くらいで脂が乗っていた方々も、今となれば60から70歳。
変化が起きてきて当然の時期かもしれない。
今更ながらに技術の縦の継承が重要であることを実感する。
どんなに世の中が変化しても、
「建設」においては人の手による技術や、経験による知識がモノを言う。
PCの発展の為だけではないかもしれないが、人の従事する仕事が多様化した。
仕事として真に魅力を感じて取組んでいなければ、現場の辛さは避けるだろう。
結局は素晴らしい技術や、深い知識を正しく評価する社会ではなかったのか。
このままでは、良い仕事ができなくなっていく。
元請業としてもっと真剣に、この問題を考えてくる必要があった。
技術者を育てること。評価すること。次につなぐこと。
取組むのが遅かったが、二代目として建設業を志す私の大事な仕事の一つである。
そしてこれらは、当社の現場監督のあり方とも連動する。
50年の歴史が一度ゼロになる。危機感を持たずにはいられない。