地元で外装工事の仕事をさせていただいている。
築30年以上経過したRC造7階の共同住宅で、商店街の歩道に面して建つ。
足場を掛け終え、外装のチェックをしたのだが、想像以上に傷んでいる。
特に歩道に面したバルコニーの鉄骨手摺に、錆で落下する危険性を持つ箇所があり、
その鉄骨取付部分爆裂で、周囲のタイル仕上げも下地ごと浮いてしまっている。
ほんの少し力を加えるとボッコリと塊でタイルが取れた。
これが歩道に落ちて人にあたったらと思うとゾッとする。
更にチェックを進めると同じく歩道に面する壁で、厚さ2センチ程塗ったモルタルが、
巾60センチ高さ2メートルくらいの範囲で浮き上がり、落ちる寸前。
数年前に確か千代田区でタイル張り壁面が、塊で剥がれ落ちた事故があったが、
ここもまさに何時そうなっても不思議ではない状況である。
築30年以上の間、一度も外装のメンテナンスをしていない。
修繕積立金の準備や住人同士の合意が得られず、今日まで至ってしまったが
本当に危険な状態を迎えていた。
建物のメンテナンスの重要性を痛感するとともに、
普段気にせず歩いている街並みにも、命に関わる多くの危険が潜んでいることを実感。
こういう危険を取り除いていくことも、我々建築のプロの責務であろう。
新築工事を中心にしてきた会社ではあるが、視点を変えて建物を見るようになってきた。