今年の夏は例年に増して、何度「暑いですねえ」と言ったことか。
まだ烈火の暑さになる前の7月末に、木造3階建てU様邸が完成した。
それから半月。
お住まいになっていろいろとお気づきの点がある中、
「3階にあがると異常に暑くて、窓を開けても熱が抜けないんです・・・」
U様はクレームという意味合いではなく、マンション住まいから木造戸建てに
初めて住むことについての感想として言って下さった。
だが私としては「今年は異常に暑いですからねえ」で済ますわけにはいかない。
以前にもブログに書いたが、住まいの断熱は建物の肝として押さえなければならない。
設計図書の記載とおりにするだけではなく、施工の経験者・責任者として
すべき配慮はするのが信条である。
にもかかわらず、この度は配慮が欠けていた結果で「暑い」にほかならない。
屋根は片流れで、野地合板の上にルーフィング・ガルバ鋼板の立平葺き。
数日間その断熱改善のことで頭が一杯になった。
屋根仕上げの上に断熱材を接着して、その上にもう一度屋根仕上げをする・・・
天井を何ヶ所か開口して、断熱ウレタンフォームを吹付ける・・・
屋根仕上げ材に遮熱塗料を塗る・・・
どれも断熱効果が出るだろうが、将来的なメンテナンスに問題がある。
それをやったが故に元の屋根が傷んだり、メンテで金がかかっては意味がない。
特に遮熱塗料は信頼する仲間の助言で却下。
そしてその助言の中で「小屋裏換気が一番有効」との意見。
私も断熱に合わせて換気をすべきではと思っていたので、そちらの方向に絞る。
幸い片流れの屋根形状で、天井内に換気扇を設置するには好条件がそろっている。
U様は気を使われて「暑いのももう少しだから、涼しくなってからで」と言って下さったが
この暑いさなかに取り付けて、効果を検証しなければ意味がないので速攻の段取り。
取付工事が済んで間もなく、U様からメールをいただいた。
温度計までご用意くださり、わざわざ閉め切った状態から帰宅後の測定をされ
温度計の数値も体感も「間違いなく効果あり」との嬉しいお言葉。
ホッとすると同時に施工時の配慮不足を猛省。
メールをいただいた翌日に、会社の近所のI邸に足を運ぶ。
8年前に仕上がったRC+鉄骨屋根の住宅で、夏になると3階部分の暑さに閉口されていた。
私も夏を迎える度にそのことが頭をよぎり、悩みながら秋を迎えてはホッとしていた。
今年は特にひどいだろうと、I様と顔を合わせるのも辛かったのだが、
このU様邸の換気工事に効果が見られたら、同様のことをやるつもりであった。
したがって足取り軽く訪問し、換気扇取付をしたい旨お伝えした。
U様邸は暑いさなかで効果を感じていただいたが、
こちらは急に涼しくなったので、効果を感じていただくのは来年であろう。
待ち遠しい夏だ。
換気扇が常時廻っていることで、電気代がかさむのではと思いながら
その分エアコンの運転負担が減って同等になるのか・・・などと漠然と思っていた。
そのことについて、私の尊敬する方がブログに書いていた。
更に胸をなでおろす思いであった。
これからも更に夏は暑くなる傾向。意識・技術とも追随しなければならない。