ビルの雨漏り相談をいただくと、不謹慎かもしれませんが燃えてきます。
当たり前ですが、雨漏りの害を被っている方にとっては、
大変なお悩みであり、精神的にも肉体的にも影響は甚大です。
修理したと思えばまた雨漏りの繰り返し、といったことが、
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物では起こりがちです。
これまで誰も解決できなかった…何度も繰り返してきた…
そのような難解な事例に向き合うと、胸が高鳴ります。
ただ、そんな中には、解決に至らない事例も一定数存在します。
複数の要因が複雑に絡みあう「創発(そうはつ)雨漏り」は、
散水試験など通常の雨漏り診断で、必ずしも雨漏り再現できず、
結果として原因究明に至らない場合もあります。
例えば、
・雨水浸入位置が複数かつ多数の部位に存在する
・室内が負圧状態になっていて室内に雨水を吸い込む
・雨漏りと同時に結露が発生している可能性が高い
・長時間降り続く雨の時だけ発生する
・建物の形状が複雑で、異種部材との取り合いが多い
・極度に強風の影響を受ける立地に建っている
・毛細管現象など、常識を超えた水の流れが生じる
・設備の給排水管や設備機器にも不具合がある
などなど多岐にわたる要因による雨水浸出が同時に発生する。
あるいは、いくつかの要因が重なるときだけ雨水浸出が発生する。
更には、気象状況等によって常に変化する。
そうなると、散水調査における基本散水時間をもってしても、
雨漏りの再現に至らないことも多々あります。
原因として仮設した部位10か所同時に、24時間散水し続ければ・・・
というあり得ない状想定下における、可能性を考えればきりがありませんが、
時間的にも経済的にも現実的ではありません。
雨漏りは原因究明無くして解決なし。
原因究明すなわち、散水調査による雨漏り再現がもっとも重要です。
しかし、前述のような「創発雨漏り」については、
雨水浸入位置として考えられる部位全て、
雨水の滞留を防ぐための道筋全て、
それらを見逃すことなく、修理の手を加えるという手法を取ることもあります。
■「創発雨漏り」「散水調査の基本散水時間」は、
NPO法人雨漏り診断士協会策定資料より出典