鉄筋コンクリート造マンションのオーナーからご相談。
「季節によって押入れの中にカビが生えてしまうの。なんとかならないかしら・・・。」
押入れと言っても和風のそれではなく、壁面や天井は石膏ボードにクロス貼り仕上げ。
確かに室内に入った途端、異様な湿気とカビ臭。
これでは体にも良くありません。
外壁と屋上からの雨水浸入も疑いましたが、諸々検証したところ、その可能性は限りなく低い。
『結露』によるものと判断し、壁と天井の石膏ボードを撤去して確認することにしました。
壁面には断熱ウレタンがしっかりと吹付けされています。 強い湿気で石膏ボードも弱くなっていましたが、そこに結露らしき現象は見られません。
天井の石膏ボードを剥がしたところ・・・
カビも発生していますが、水が流れ落ちるほど滞留していました。 下地の軽量鉄骨材もひどく錆びています。 天井内を見ると、最上階ということでコンクリートスラブには、既製の断熱ウレタンパネルが打ち込まれています。 これも壁と同様に結露防止に機能しています。
さて、壁は断熱ウレタンが吹かれていて、天井内のスラブにも断熱材ウレタンパネルが施されていて、どこに結露が発生するのでしょう。
天井内に目を近づけてみると・・・
もう少し寄ってみましょう。
四角く露出しているコンクリート面に、滴がビッシリと付いているのが見えます。
詳細は割愛しますが、新築工事においては「天井インサート」という金物を、コンクリート打設前に設置します。
その設置にあたり、断熱ウレタンパネルを切断したことで、天井インサート周囲にコンクリートが露出してしまいます。
過去に3件このケースを経験しましたので驚きませんが、オーナーは目を丸くされていました。
この滴が周囲のコンクリート梁にも結露を広め、天井に流れ、壁面へも湿気を充満させることになります。
このケースは『雨漏りではないか??』という疑念を抱いても不思議ではありません。
しかし初めから断定してかかると、当然解決まで迷走します。
先入観を持たずに挑むことですね。