よく「10年経ったら防水とか塗装とかやらなければダメ?」と問われることがあります。
もちろん、やらぬよりもやった方が、今よりも良くなることは間違いないです。
ただ、当社の経験値で言えば、関わるビルの8割が15年~20年で初めての大規模修繕、
という状況です。
なぜ「10年経ったら」をよく耳にするのだろうと考えると、
竣工時の「防水は10年保証」という言葉が、大きく影響しているものと想定しています。
そもそも10年保証のうちに漏るなどあってはならないのですが、
「10年経ってないのに雨漏り!」というケースも、実際には存在します。
「防水は10年保証」は、防水材料と施工について保証しているものですが、
不具合が材料自体に生じることは少なく(※ゼロではありません!)
サッシなどの異種部材と防水の取り合い(接点)や、防水面以外に生じたひび割れなどから、
防水層の裏面に雨水が入り込むなど、防水そのものではない部位に起因する雨漏りが多々見られます。
それでも、屋上やバルコニーなどの「水平面」からの雨漏りは比較的少なく、
現実としては「垂直面」の壁面やサッシ回りから、というケースが8割以上という感じです。
サッシ廻りには「シーリング防水」が施されていますが、ココは保証が10年ではないでしょう。
おそらく5年から7年、しかもシーリング材自体の保証ですので、その近辺にひび割れが発生した、
などの事情が絡むと、保証の範囲が不明瞭となります。
わかりづらいかもしれませんが、シーリング防水がどれだけ適正に施工されていても、
その周囲のわずかなひび割れ一本が、雨漏りへと誘導してしまうこともあります。
以上の通り、10年経たずとも、部位によっては不具合が発生することもあります。
それを感じ取れるのは、寝食を共にしているビルオーナーです。
10年経っても、15年経っても、何も発生しないこともあります。
でも「あれっ?」と異変に気付くのは、いつも大切に見守っているビルオーナーです。
もちろん私たちが、別の目で見ることも大切ですので、異変に気付いたらお声掛けください。
または、そうなる前に「ビルの健康診断」を受けてみるのはいかがでしょう。
健康診断や治療が必要なのは、人もビルも一緒。
ただ、人は自分から異変を訴えられますが、ビルは言葉にできません。
まずは隅々まで見回してあげましょう!