今思うコト

時折訪ねる原点。

今日は新年の挨拶廻り。
38件廻って最後に寄ったのは私の原点。
大学を卒業後3年間、現場監督としてお世話になった会社をお訪ねした。
私の現場に関する礎を築いてくれたのは、当時の社長や先輩方々だ。

社長はおおらかな方で、任せるべくは任せ、責任を持たせてくださった。
先輩監督は当時7名おられたが、その中で最もご指導をいただいたYさん。
残念ながら本日はお会いできなかったが、一番数多くの思い出がある。
何しろすべてを綺麗にされていて、現場内や仮設のトイレはいつもピカピカ。
伴い図面も仕事も美しい。
私はだらしがなく、掃除や現場監督としての所作など、ことあるごとにご指導を受けた。

一番思い出深い現場は、小石川の公共施設。
土間配筋の監督をしていたところ、おおむね作業が終わる頃Yさんが進捗確認に来られた。
「なんだこの配筋は?なぜこれを許して進める。」
確かに若干ピッチが乱れているし、美しいかと問われればそうでもない。
でも、もう作業も終わる寸前だし…「それほど問題ではないのでは?」と答えた。
「コンクリートに隠れてしまうからと許したら、その後のすべてがそんなことになる!」
確かそんな言葉と共に、もう烈火のごとく怒られて「全部組み直しだ!」となった。
恥かしながら当時は憮然として逆らってしまったが、今思えば一事が万事。
Yさんの現場は初めから終わりまで「美」なのである。

3年間勤め、結婚を機に退職して自社に入った。
送別会を設けていただき、皆の前でYさんが褒めて下さった。たぶん初めて。
「こいつは毎日、現場事務所に誰よりも早く来て掃除をしていた。」
あの時は何も言われなかった。でも、見ていてくださったのだ。
涙があふれ出したのを今でも忘れない。
社長には私の結婚式で主賓のスピーチをお願いしたが、「新郎は筋骨隆々で…」と仕事内容には触れず、体力だけ褒めて下さった。既に他界されているが、今日は私のこと見ていただけただろうか。

沢山の思い出が詰まった原点。
あれから30年超。
今、感謝しかない。

コメントを残す

*

CAPTCHA