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原点。

品川の桐ケ谷斎場にてお通夜に列席し、その帰りに徒歩で寄り道。

もう何年も伺わず失礼していましたが、

私が3年間、現場監督として勤めさせていただいた工務店をお尋ねしました。

 

当時お世話になった社長様は、だいぶ前に他界されてしまいましたが、

当時いろいろとご指導くださった方々が、現在も数名在職されています。

今日は残念ながら一人しかおられませんでしたが、お茶を頂きながら昔話に花が咲きました。

当時はバブルの盛りでしたので、ものすごい仕事量でした。

何カ月も休みなく、早朝から夜遅くまでミッチリ働き詰めでしたが、充実感でいっぱいでした。

 

苦しいことや大変なことがあっても、いつもこう考えていました。

「すべては将来自分が社長になるために必要なことだから」

すべてが学習の場でした。

施工図・現場の段取り・職方とのコミュニケーション・経営者と社員・サラリーマンの気持ち・・・

3年間でどれだけ多くの学びを頂いたか計りしれません。

 

そのなか、初めての新築現場で、先輩から一番最初に教えられたことは、

仮設便所の掃除でした。

現場の仮設便所=汚いのは当たり前、という方もおられましたが、

その先輩の現場だけは、いつもトイレがピカピカでした。

そして、それに伴うかのように、現場内の整理整頓・建物周囲の足元など、

すべてにおいて清潔な状態を保っていました。

その教えが、今も私の行動規範となっています。

 

はじめが肝心。

おそらく、ご指導くださる方が、仮設便所なんて汚いのが当たり前・・・

という方だったら、私の考え方も違っていたのかもしれません。

そんなことを思い出しながら、近々の再開をお約束して失礼しました。

 

帰り道に近所の酒屋さんを見て、立ち止りました。

私が入社して初めて、浴室の改修工事を任された現場でした。

わずか一坪弱の浴室に、どれだけ多くの思い出が詰まっていることか。

当時かかわった職方は、誰一人として忘れていません。

 

酒屋さんに向かい、心の中で一言。

「その節はありがとうございました。本当はちょっと謝りたいこともあります。(笑)」

 

ありがとうございます。

お陰さまで、今の私がいます。

私の大切な原点です。