朝出社して事務仕事をしていると、6時半ころ得意先から電話が入った。
「地下室に降りたら床が水浸し。昨日の雨が漏ったのかどうか、とにかく早く。」
一瞬血の気が引いた。
なぜなら、こちらの建物は当社が施工させていただいて、
大雨の時に限ってとはいえ、地下室への雨漏りを数回発生させてしまい、
何度か床上に水がたまるほどの状況を繰り返した経緯がある。
建築後17年、そのうち数回とはいえ雨漏りでお客さまを困らせ、
やっと昨年の春に解決に至ったところなのである。
お客様からの電話の声は大変重く、困惑・落胆・呆れが伝わってきた。
私もそれに反応して血の気が引いてしまったのではあるが、
「間違いなく雨漏りを止めた」という思いが血の気を呼び戻し、頭が冷静に働きだした。
これは「雨漏り」ではなく、地下室の更に下のピットに溜まる「湧水」であり、
それが排水されるべくポンプに、何らかの異常が生じたものであるという見解。
お客様にそのことを話するが、当然意味がよく通じなくいと見えて、
私が言い逃れをしていると感じたかもしれない。
とにかく仮設用の排水ポンプとホースを積んで現場へと急ぎ、
地下室に入ると床のタイルカーペットの上に1センチ位の水が溜まっている。
湧水ピットのマンホールをあけると、案の定満水となっていて排水の段取り。
ポンプから屋外へ確実に排水していることを確認してから点検。
湧水ピットの電源を確認すべく、地下室の分電盤をあけたがブレーカーはすべてON。
だが漏電ブレーカーのテストボタンを押してみると、落ちるはずのブレーカーが落ちない。
つまり、電気が来ていなくてポンプが働かなかった可能性が高い。
そのことをお客様に伝えると、思い当たる節があった。
20日ほど前に電気のトラブルがあって、業者を呼んで他階の電気盤をいじっているとのこと。
早速そこをチェックすると、地下室の機械電源すべてを司るブレーカーがOFFになっていた。
冷静に考えて立てた「頭の中の仮説」がすべて的中し、原因究明。
お客様も、私の行動をすべて見たうえで説明をよく聞いて、ご理解してくださった。
大事に至らず良かった。
あと数日発見が遅れていたら水位がどんどん上がり、壁仕上げもコンセント類も、
そして置いてある書類などの荷物もすべてダメになるところであった。
そうした場面までなってしまうと、私が今回同様の行動と説明をしても
思考よりも感情の方が高ぶってしまい、ご理解に時間がかかったと思う。
そして何よりお客様の金銭的負担が莫大となる。
今後再び、このような事態にならぬよう対策を提案し、そちらもご納得された。
あの時覚悟を決めて、真剣に取り組んで雨漏りを止めた。
施工者として、建築のプロとしてあってはならない雨漏りだが、
起こしてしまったからには、覚悟を決めて原因究明と修理に責任をとる。
当時その姿勢に、ご理解を示して下さったお客様に心より感謝している。
これからも何があってもすぐに駆けつけます。
ありがとうございました。