カテゴリ未分類

運命の分かれ道

久しぶりに長男の高校野球観戦。

練習試合ではあるが、夏の大会に向けて一戦一戦すべてが大切。

選手もベンチ入り、レギュラー奪取のチャンスを得る場である。

仲の良い友達、先輩後輩でありながらライバルという関係は

厳しい現実を目の当りにさせるが、なんとも貴重な体験であると思う。

この3年間は彼の人生にどれだけ影響を与えることか計り知れない。

全員で最後の夏に完全燃焼だ。

 

そのあと、子供が晩御飯のお世話になっている食堂にご挨拶に寄り、

新鮮なカツオを土産にいただいてしまった。

我が子のように扱ってくださり、ご飯だけではなく

何時もいろいろと甘えさせていただいているうえに、親までいただき物・・・。

健康で学校に行き、野球が続けられているのもこの方々のお陰で、

感謝の気持ちこの上ない。

 

店の休憩時間に行ったので、子供のことなど笑顔でお話してくださったが、

実はお店の方々は過労気味。

先日、街並み紹介のテレビ番組に取材を受けて放映されてから、

連日行列ができるほどの大盛況になっているのだ。

たしかに定食のおかずの味も量もすごくて、番組に出る前からいつも繁盛していたのに

更にどうしようもないほど忙しい状況になって、ご家族全員へばっているとのこと。

確かにご夫婦ともに少々お痩せになったようだし、おばあちゃんは言葉少なだった。

 

「子供から聞いてますよ。大盛況のようで。」と言うと

ご主人がシミジミ言った。

「いやー良くないです。忙しさのあまりどうしようもなくて、

こなすだけでどうでもいいや・・・って気持ちになっちゃったんですよ。

そうするとね、品物も態度もそうなるし、お客さんに伝わっちゃうんです。」

私もあの時期を思い出して言った。

「私も建築のバブル期には、ありがとうございますなんて気持ちは

知らず知らずどこかに飛んじゃって、仕事をこなすことが目的になっていました。」

 

ご主人はこれを機に今一度基本にかえる、と考えている。

私もバブルを過ぎた時、そう考えた。

そこで気付くか、はたまた「こりゃウハウハでやめられねえや!」のどっちかだが、

ご主人も私も、この分かれ道で正しい選択をした。

 

あのご主人とご家族なら誤った道を選ぶわけがないが、嬉しかった。

きっと子供は、卒業しても一生感謝の気持ちで、お店を訪ねるから。