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せめて糧に。

悩み続けていたクレーム処理が終わった。

だが、現時点で本当にクレーム対象が消えたのかは不明である。

 

昨年のちょうど今頃に仕上がった、鉄筋コンクリート造のレンタルスタジオで

壁一面に張ったカガミに起こる結露。

冬場の冷え込む時期だけではあるが、レッスンに支障をきたすほどの結露だ。

室内側に大量の熱を帯びた湿気が充満することは間違いないので、

換気や除湿の問題もある。

だが、根本的に北側に面したコンクリート打放し壁に、

カガミを直張りしたことで招いてしまった結果であると思う。

予算のことや設計のコンセプトなど、いろいろなファクターで

この仕様になったのではあるが、その時点で「結露の危険性」について

建築のプロとして技術者として気付き、助言ができなかったことが悔やまれる。

 

対処については本当に悩んだ。

当初はカガミを撤去して、コンクリート打放し壁面に断熱材をほどこした内壁をつくり

その上に再度カガミを張るまで考えていた。

だが、壁が大きく内側にせり出してしまうことや、施工日程の問題もあり却下。

結局既存のカガミ上に5ミリほどの空隙を持たせて、再度同様にカガミを張ることに。

だが、それだけでは果たして効果があるものか、

その5ミリの中で有効な断熱ができないものか、そのことがずっと頭を離れることはなかった。

 

以前別の用途で使用したことがある材料を思い出した。

「エサフォーム」というものだ。

梱包の緩衝材などの用途で使われる2ミリのシート。

早速ネットで見ると、防湿・断熱効果があるとの記載。

これしかない。これをカガミ同士の空隙に張り込むことにした。

張りながら暖かいと感じた。

なんとかこれで効果が出てほしいという思いで、キッチリと張り込んだ。

 

効果が確認できるのはこの次の冬になる。

施主様にはできるだけの事をした旨説明し、

尚且つ、それでも室内環境によっては結露が起こる可能性も伝えた。

正直、不安もあるがやるだけのことはやった。

 

金銭的には大きな損失であるが、せめてこの経験を糧にするしかない。

今後、このような仕様に出会えば、経験からものが言える。

 

夏が過ぎて寒くなり始める頃には、日々カガミを思い起こすことになろう。

直接の問題は結露であるが、それによりお客様のレンタルスタジオの営業に支障が出て

迷惑が掛かることが最大の問題である。

なんとか効果が出ますように。