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頭の引出し

ゴールデンウイーク中に改修する現場の採寸。

昨年の5月に完成したレンタルスペース。

予算やデザインを検討した結果、内部はコンクリート打放しの壁で

主にダンススタジオとして借りる方が多く、北側の壁が全面カガミ張り。

高さは2メートル、延長で13メートルくらい。

昨年の11月にクレームをいただいた。

冷え込んだ日にダンスのレッスンがあると、カガミが結露してしまって

まったく見えなくなってしまうというものであった。

 

コンクリート打放しの壁に5ミリ程度の隙間を介してカガミ張り。

ウカツであった。カガミが冷えてしまう。

そこに湿気のある熱い空気がぶつかるのだから結露してしかり。

が、当時もし気にかかっても施工方法は変えなかったと思うので

後悔しても仕方がない。

予算の都合があったとはいえ、お客様にしてみたら

機能を果たせないでも良いという事ではないのだ。

責任持って対処する覚悟。

コンクリート壁面に張ってあるカガミは剥がせば割れる。

そこに断熱材を吹いて、石膏ボードを貼って、カガミを張る、

まですれば、通常の状態になるので良いだろう。

しかし、壁が手前に出ることや工事できる日が限られていることなどから

この方法は採用したくないのだ。

 

こちらとしても最小限のリスクで、できるだけ大きな効果がほしい。

そこで今のカガミを撤去せず、その上に5ミリ程度の隙間を持たせ、

新たなカガミを張ることにした。

だが、問題は今まで冷え込んでいたカガミから

新たなカガミも冷やされないか?当然それはありえる。

 

5ミリの空間で断熱できる物はないか。

採寸を終えてカガミを見つめたまま、じっとそれだけを考えていた。

ひらめいた。

そうだ。あれなら2ミリ程度の厚さで、しかも触ればあったかい。

使える。

これで駄目だったらを考えるのはよそう。これが今できる最大の手立てと信じて。

昔、現場で別の用途で使っていたことがあった。

その時の感触がふっと頭に浮かんだのだ。

 

集中して考えると頭の引出しがスッと開いてくれる。