友人が麻布十番に和食の店をオープンすることになり、
プレオープンレセプションにお招きいただいた。
彼は若い頃、京都の有名な料理店で厳しい修行を積み、
独立をして地元福井県に純和風の店を構えている。
5年ほど前に東京タワーの近くで食事をした時に
「東京タワーの見える場所に店を出すのが夢なんです!」
と目を輝かせて言っていた。
こじんまりとした店だが新しいビルの7階、
窓の外は流石に高いビルばかりで、東京タワーは見えなかったが、
この場所にコレだけの店を構えるのは大変なことだと思う。
こだわりの越前和紙を使い、越前焼きの器に料理。
彼の目の輝きはその当時のままで、若干の緊張と大きな喜びが感じ取れる。
食事を終えて帰ろうとホールに出ると、忙しい中わざわざ見送りに着てくれた。
「店内でココが私の一番の場所なんです。」
?と彼の指差す方向を見ると、ホールの細いガラス窓の向こうに
輝く東京タワーの中腹以上が見えていた。
「うわあ、本当に夢を叶えたんだねえ!」
彼は満面の笑みでうなずいていた。
これから厳しいことも辛い場面もあろうと思う。
だが、この東京タワーを見て、何時でも自分を奮い立たせるのだろう。
当然店を出すという夢で終わりではないし、単なる自己満足のためでもないだろう。
彼が経営者としてどんなコンセプトをもって出店したのか、これから問われる。
道は違えど「ものづくり」のプロ同士、少し落ち着いたらジックリ話しがしたい。
その時は東京タワーの見える場所で。