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腐った根っこ

昨日、得意先より連絡があり
屋上の防水を見て欲しいとの事。
建物自体は当社の工事ではなく
30年ほど前に大手業者が施工したもの。
今回雨漏りしたと言うわけではなく
3年前に施した工事について見て欲しい?
とのことであった。
屋上に出て見渡すと、もともとの床面の上に
塗布防水が施されているようだ。
そして、所々に大きな水溜り。
数箇所ひび割れ、下地ごと取れている。
良く見れば塗布防水の下にはシート防水も貼ってあり、
あちこちエアーや水が入って浮いている。
30年のうちに2回手を加えているようだ
依頼者は当然素人なのでまったく構造が
理解できておらず、単に工事して3年で
表面に水が溜まったり、ひび割れが出たり
して良いものか?というような質問。
もちろん良くない…のではあるが
問題はそれよりも工事の根拠。
良く聴けば2回共雨漏りしたからではなく
漏る前の予防としての工事依頼だったとの事。
それは大変良い考えではあるが、
もしも私がそのような相談を受けていたら、
ここまでの提案はしない。
見たところ30年経っていても
納まりや施工の状態が良好で
キッチリと施工がなされていると感じるから。
もしもご依頼に応えて施工する場合
目的が予防のための更なる防水であるならば、
相応の支度をしなければならない。
シート防水にエアーが溜まらぬよう
脱気設備をつけるとか
勾配などの是正をして極力表面に水が
滞らぬようにするとか。
あとから手を施す物として
出来うる限りの努力をする責任がある。(限界はあるが)
素人の方にこういった事を話すと
私が良い者で前業者が悪者、のような構図に
流れてしまう可能性があるので言葉を選ぶ。
どんな依頼でどんな状況で施工したのかも分からずに
一方的に悪者に仕立て上げるのは本意ではない。
更に良く聴けば問題の根っこが見つかった。
長年に亘る管理組合の理事長と業者の癒着。
発覚するまで各種相当の工事をしたとのこと。
やっと皆の力で根を引っこ抜いたらしい。
かくしてこの「防水工事」は
金額を膨らませるための手段であり、
雨を防ぐためではなかったということだ。
まったく手法・技術以前の問題。
30年前の真の技術者のお陰で
生活者に影響が出ていないのがせめてもの救いだ。