雨漏り

『雨漏り』と私。

このところ、多くの方々と雨漏りについて語り合う機会に恵まれています。
私がどうして『雨漏り』に真剣に取り組むことになったのか…
『雨漏り』に関するNPOに携わることになったのか…
初心に帰って思い出していました。
当社は創業から54年目を迎えています。
私自身は、社会人として建設現場に従事して27年。
ただし小学校2年の頃から手伝いをしていたので、
それを加えさせていただくならば、42年ほどに。(笑)
社会に出たころは、ちょうどバブル期の真っ只中で、
多数のビル新築工事に携わりました。
そしてそれから数年の間、頭を悩ませる事態が多発しました。
それは『雨漏り』です。
当たり前ですが悪気もなく、手抜きなどせず、
何かを省略した訳でもないのに、『雨漏り』が頻繁に起きたのです。
当時のお客様には、本当に申し訳ない思いでいっぱいです。
当然ながら、すべての案件に真剣に取り組み続けました。
材料選択や施工精度、納まり自体に無理がある部位など、
原因は様々でしたが、すべては元請けである当社の、
そして当時の後継者である私の責任と重く受け止めて、対処を重ねてきました。
とはいえ、修理をしても(否、したつもりでも)雨漏りが止まらず、
そのたびに連絡を頂戴し、
「なんで、真面目に一所懸命やっているのに…」
などと身勝手な思いが頭をよぎる弱さもありました。
すべてはこちらの責任なのに。
また、直接施工に携わった、言わば雨漏りを防ぐプロであるはずの
防水屋・シーリング屋に相談しても、
どこまで真剣に考えているのか?と疑問に思うこともしばしば。
建物の最も基本的な機能は雨をしのぐこと。
なのにそこを真剣に考えているプロがいない。
建物には雨漏りの一つや二つは付き物だよ…と簡単に言う方がいたりする。
そして私は5年ほど前に、
『雨漏りは、建築のプロが真剣に取り組むべきこと』
という強い思いを抱くようになりました。
その当時、長年にわたり、雨漏り解決ができない案件が二つありました。
一つは築後10年、もうひとつは17年もの間、手を加えては止まらずで、
そのたびにご迷惑をかけ続けていました。
ご辛抱下さったお客様には、本当に感謝とお詫びの気持ちでいっぱいですし、
思い出せば恥ずかしい限りです。
『雨漏り』に真剣に取り組むなら、この二件を何としても解決しなければ…。
集中して何度も何度も現場に通い、図面との整合性・現場の施工状況を確認したり、
晴れの日、雨の日、雨の後日、いろいろな角度から建物を見つめました。
足場をかけたり、赤外線カメラを向けてみたり、多額の費用も覚悟を決めて、
ありとあらゆる手立てを講じました。
そしてやっと、それまで見えなかったことがスッキリと見える日が訪れ、
原因を突き止めたうえで、適正な処置をもって、解決することができました。
そして、雨漏りに更に真剣に取り組むことを決意。
不思議なことにその後、私同様に真剣に雨漏りを考えている方々と、
お互いに引き合うような出会いが重なり、
力を結集して『NPO法人雨漏り診断士協会』を創り上げることに。
すべてが必然であったのだと思います。
これからも初心忘れることなく、雨漏りを真剣に見つめていきます。